よく本を表紙買いしたっていう人がいるけれど、僕は表紙買いがかなり苦手です。
なんというか、買った本がめっちゃつまらなかったという可能性を考えると、よく知らない作家の本を買おうという気にならない・・・。
なので僕は本を買う時には、「書店員おすすめ!」だとか「なんとか部門第一位!」みたいなポップが貼ってあるやつをよく手に取ります。
自分の買おうとしている本が面白いということが保証されていてほしいのだと思います。
正直あんまり自分の本を見る目に自信が無いんですよね。
子供の頃から僕が面白いと思っていたジャンプ漫画はことごとく打ち切りを食らうし。
それだったら最初から、売り上げだとか、著名な作家だとかで面白さの保証がされている本を読んだ方が良いかなって気になります。
そういう選び方をしていた中で、一番良いなと思ったのが、めっちゃ昔の作家の本。
太宰治だとか、夏目漱石だとか、もう何十年も読み継がれているような本はやっぱり面白いことが多いのです。
本って言うのは毎年新しいものが出ていて、一年間に7万冊以上も新刊が発売されていると言われており、いわばかなり競争が激しい世界。
そんな世界で何十年も前からずっと読まれているような本は、本当に外れないです。
僕がこういう本の選び方をするきっかけとなったのが、アガサ・クリスティです。
アガサ・クリスティは言わずとしれた推理小説の名作家なのですが、僕が初めて読んだのは大学生の頃。
ちなみに当時は東野圭吾のガリレオシリーズが好きだったのですが、推理小説って当たりハズレが激しいのです。
ちなみに『容疑者Xの献身』はめっちゃ面白いのでおすすめです。推理小説としてだけではなく、人間ドラマが最高にアツい。
良いミステリーはロジックの中に納得感のようなものがあるのですが、悪いミステリーって「そんなんありかよ!?」って論理を押し通してくるので、読んだ後に何とも言えないモヤモヤが残ります。
ちなみに僕の中では万能鑑定士Qがそんな感じでした。
鑑定士やってる主人公の知識が豊富なのは別に良いですが、急に知識を出してくるので読んでる側からすると「そんなん知らんわ・・・」みたいになったのを覚えています。
そんなこともあって僕の中では、推理小説というのはよく知らない作家を選ぶのが非常にためらわれる分野なのです。
そんな中で出会ったのがアガサ・クリスティの『ABC殺人事件』。
アガサ・クリスティと言えば、当時本を読んだことの無かった僕でも名前を知っているくらいの有名作家。
その割には一度もこの作家の本を読んだこと無かったと思って読み始めたのですが、これがめっちゃ面白いのです。
推理小説はネタバレすると終わりなところがあるので詳しくは言えませんが、トリックの説明から伏線の回収まで見事で、面白かったのもありますが、それ以上に「すげえ・・・」って思った本です。
何というか、感心しました。本を読んだ感想が「感心する」ってなかなか無いですよ。さすが長きにわたって読まれるだけのことはあります。
『ABC殺人事件』が発表されたのって1936年ですからね。80年以上も読まれてるのです。
出版過多と言われている現代においても生き残っているということはやはりそれだけの理由があるのだとはっきり感じました。
それ以来、やはり手に取る本と言うのは何かしらの凄さを持つ作家の本であることが多く、アガサ・クリスティとの出会いは僕の本選びに大きな影響を与えることとなりました。