おはようございます。しんぺいです。
今回はマジック・ザ・ギャザリングのルール解説です。お題はプレインズウォーカーと優先権。
マジック始めたての頃によくあった疑問があるのですが、出てきたばかりのプレインズウォーカーを忠誠度能力を使う前に処理することはできるか?というもの。
例えば相手がメインフェイズ中に「覆いを割く者、ナーセット」を出したとしましょう。
こいつを放置しておくと忠誠度能力で手札を補充されるので、こっちとしてはその前に破壊したい。
ということで、ナーセットが登場した後、相手が忠誠度能力を使う前に「迅速な終わり」で破壊!
でもこれって可能なの?って話です。
・・・ちなみに結論から言うとできません。遊戯王やってる身としては出来ても良いんじゃないの?って思うんですが、マジック・ザ・ギャザリングのルール上は不可能です。
なんでこんなことになるのかということを解説していきましょう。これを理解していけば、遊戯王からマジック・ザ・ギャザリングに入った人が感じる違和感を減らすことができると思います。
まずは優先権について確認
マジック・ザ・ギャザリングにも遊戯王にも、優先権というものがあります。
どちらのカードゲームも相手ターンにカードを使うことができるゲームです。マジック・ザ・ギャザリングならインスタントや起動型能力、遊戯王なら速攻魔法や罠カード、一部の効果モンスターの効果が相手ターンに使えます。
ただ無制限に使うことができるわけではなくて、使うタイミングが決められているわけですね。それが優先権を持っているということ。優先権を持っているプレイヤーは相手ターンであってもカードを使うことができます。
つまりは、相手ターンのいつ自分に優先権が回ってくるか知っておくことで、相手ターンのどのタイミングでカードを使えるかが分かるようになります。
ターンを進めているプレイヤーが優先権を得るタイミング
相手ターンのいつ優先権が回ってくるか。そのためにはまず、マジック・ザ・ギャザリングでのターンの進み方を知っておく必要があります。そしてターンのいつ、まずターンを進めているプレイヤーが優先権を得るかを確認していきましょう。
マジック・ザ・ギャザリングは、
- 開始フェイズ
- 戦闘前メインフェイズ
- 戦闘フェイズ
- 戦闘後メインフェイズ
- 終了フェイズ
という順にターンが進みます。そして各フェイズの中にはさらに、ステップという区切りで細分化されてるものもあります。例えば開始フェイズは
- アンタップ・ステップ
- アップキープ・ステップ
- ドロー・ステップ
からできている、といった具合ですね。
これらのフェイズやステップが始まる際、まず条件を満たせば自動的に発動する効果が処理されます。例えば「カードを引いた時に発動する効果」のようなものです。ちなみにこれらの効果が誘発した場合に、それがスタックに乗る効果である場合はターンを進めているプレイヤーが優先権を得るのですが、その辺のやり取りは今回の話の本筋から逸れていくのでここでは割愛します。
それらの効果を処理した後、ターンを進めているプレイヤーが優先権を得ます。優先権が発生しないステップもあるのですが、これも話が逸れていくので今回は割愛。メインフェイズではちゃんと優先権を得られます。
まとめると、
- フェイズやステップが始まる
- 条件を満たした効果が発動、処理する
- 処理が終わったらターンを進めているプレイヤーが優先権を得る
という順番ですね。
優先権の受け渡しについて
前項で確認した通り、まずターンを進めているプレイヤーが優先権を持つのですが、それをずっと持ち続けているわけではありません。相手プレイヤーに優先権を渡すタイミングが出てきます。
相手プレイヤーに優先権を渡すタイミングは大きく2つ
- ステップやフェイズを終了したい時
- 唱えた呪文に対して何もしない時
これらについて見ていきましょう。
ステップやフェイズを終了して次に行きたい場合、相手に優先権を渡します。
これだけだと状況が分かりにくいですが、ようするに「メインフェイズを終了しますが何かありますか?」ってやつです。これは相手に優先権を渡しているということで、この時相手は相手ターン中でも使える効果を使うことができます。
唱えた呪文に対して何もしない場合とはどういう状況でしょうか。
例えば自分が「ショック」を唱えたとします。
唱えた「ショック」はスタックに乗ります。スタックに乗るとは解決を待っている状態を指す。
この時、まずターンを進めているプレイヤーに優先権が回ってきます。優先権を持っているプレイヤーが呪文を唱えた場合、そのプレイヤーが再び優先権を得るというルールがあるからです。
追加で「ショック」を唱えるならそれも良いでしょう。
しかし、何もすることが無い場合は、相手に優先権を渡します。
これを端的に言えば、「ショックを唱えます。何かありますか?」って感じですね。ここからスタックに関する一連のやり取りが始まります。
優先権を渡された相手は「ショック」に対応して何か呪文を唱えられます。「否認」で打ち消すとしましょう。
相手が呪文を唱えたので、再び相手が優先権を持ちます。何もないならパスして優先権を返す。
ターンを進めているプレイヤーも対応できないので優先権をパスするとしましょう。すべてのプレイヤーが連続してパスした場合、効果の処理が始まります。
スタックに乗った呪文は後から解決していくので、「否認」から処理されます。「ショック」が打ち消される。
スタックに乗った呪文が解決された場合、ターンを進めているプレイヤーが優先権を得るというルールがあります。
ここで何もない場合、相手に優先権をパス。相手もやることが無ければパスですね。
連続してパスされたので、次の呪文を解決します。
「ショック」を解決。しかし「否認」に打ち消されているので無効です。
スタックに乗っている呪文が解決されたので、先ほどと同じくターンを進めているプレイヤーが優先権を持ちます。何かしら次の行動をすることができますが、何も無ければ相手に優先権を渡してそのフェイズやステップを終了、次のフェイズやステップへ、という感じです。
以上、優先権に関する一連のやり取りを説明しました。これらのやり取りをプレインズウォーカー呪文に当てはめるとどうなるか見ていきましょう。遠回りしましたが、ようやく本題です。
先ほどのスタックのやり取りで紹介した、
- スタックに乗った呪文が解決された場合、ターンを進めているプレイヤーが優先権を得る
というルールがカギになります。
プレインズウォーカー呪文を唱えた際の優先権のやり取り
プレインズウォーカー呪文はクリーチャー呪文などと同じく、通常はメインフェイズにしか唱えられません。まずはメインフェイズに出来ることを見ていきましょう。
メインフェイズ中、ターンを進めているプレイヤーが優先権を持っていて、スタックに何も効果が乗っていない場合、そのプレイヤーは
- 土地をプレイする
- 呪文を唱える
- 忠誠度能力を使用する
といったことができます。遊戯王的に言えば、通常召喚をしたり、通常魔法を唱えるといった感じ。
ちなみにスタックに効果が乗っていないとは、発動または誘発してから処理を待っている効果が何も無いことを指します。
プレインズウォーカー呪文を唱えるのは土地のプレイやクリーチャーなどの呪文を唱えるのと同じタイミングでしかできないので、このタイミングで唱えることになります。
プレインズウォーカー呪文を唱えた場合について見ていきましょう。
呪文を唱えたので、呪文を唱えた側が優先権を持ちます。何も無いのでパス。
相手も、打ち消しがないのでパスするとしましょう。連続してパスされたので呪文が解決されます。
呪文が解決され、「覆いを割く者、ナーセット」が場に。これでスタックに待機中の呪文はありません。
そして、「スタックに乗った呪文が解決された場合、ターンを進めているプレイヤーが優先権を得る」というルールに則り、ターンを進めているプレイヤーが優先権を得ます。
その後、メインフェイズ中に優先権を持っており、スタックに何も乗っていないのでターンを進めているプレイヤーはプレインズウォーカーの忠誠度能力を使用できます。さっき言ったやつですね。
メインフェイズ中、ターンを進めているプレイヤーが優先権を持っていて、スタックに何も効果が乗っていない場合、そのプレイヤーは
- 土地をプレイする
- 呪文を唱える
- 忠誠度能力を使用する
といったことができます。
ここで相手が忠誠度能力に対して除去呪文の「迅速な終わり」を撃ってももう遅い。忠誠度能力はスタックに乗っているので「迅速な終わり」が解決された後に忠誠度能力が解決されることになります。
というわけで、出てきたばかりのプレインズウォーカーに対して除去を撃っても間に合いません。
プレインズウォーカーが出てきた段階で優先権はターンを進めているプレイヤーにあり、すぐに忠誠度能力を使用できるからです。
遊戯王やってると感じる違和感の正体
さっきのプレインズウォーカーと忠誠度能力の処理、遊戯王やってるとかなり違和感があると思います。僕は最初、この理屈が全然理解できませんでした。
おそらく、マジックにおける優先権と遊戯王における優先権を同じものだと思っていたからだと思います。
今回のプレインズウォーカーを出して忠誠度能力を使うパターンは、遊戯王だとモンスターを召喚してそのまま自ターンにしか使えない起動効果を使うパターンに近いでしょうか。
遊戯王でもモンスターを召喚した後は自分に優先権がありますが、遊戯王だと優先権を持っている場合に使えるのは速攻魔法や罠カードといった相手ターンにも使えるカードだけです。
自ターンにしか使えないモンスターの起動効果は、お互いに優先権を放棄した後にしか使えないので、モンスターの召喚直後の優先権のやり取りで相手に除去を撃たれた場合、効果を使う前に除去されてしまいます。
遊戯王にとって優先権はあくまで相手ターンにも使える効果をやり取りするためのもの。自ターンにしかできないことは優先権のやり取りが終わってから行います。
一方でマジック・ザ・ギャザリングの優先権は自分がいま行動を起こしても大丈夫か表すためのもの。優先権を持っていて条件を満たしていれば、遊戯王と違って自ターンにしかできないことも行うことができます。
こういう差があるのですが、遊戯王の優先権とマジックの優先権は同じものとして思い込んでると、今回みたいな場合に理解しづらくなるというわけですね。
まとめ
プレインズウォーカーと優先権の関係についてでした。プレインズウォーカーを出した直後はターンを進めているプレイヤーに優先権があるので、相手の除去を受ける前に効果を発動することができます。
遊戯王勢にはかなり違和感のある処理ですが、遊戯王とマジックの優先権は微妙に違うので、遊戯王からマジックに入った人は混乱しないように注意したいですね。
羽根帚にサイクロンを撃ってる感じに近いのでしょうか?
コメントありがとうございます。
イメージ的にはそんな感じですね。
プレインズウォーカーの忠誠度能力に対して除去を撃っても、もうその能力は発動しているので除去はできても効果は止められません。
プレインズウォーカーの着地から忠誠度能力の使用まで相手が行ってしまえば、こっちが除去を使うタイミングは忠誠度能力を発動した後しかないので止められないって感じです。